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第10回 授賞結果とお知らせ

患者さんのケアや医療施設に携わる方々たちの着眼によって生み出された様々な改善工夫・アイデアで実現した作品を募集しました。
本年は48団体62作品の応募があり審査会において、グランプリ1点、準グランプリ1点、さらに『IT de 賞』1点、『がんばったde賞』2点、『かんたんde賞』1点、『ハッピーde賞』2団体が選ばれました。ホスピタルショウ会場内において各授賞式・作品紹介(スピーチ)と、入賞作品の展示および前応募作品の一覧パネル展示を行いました。各賞の授賞式、作品紹介(スピーチ)をセミナーステージ①で開催しました。
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点滴クリップ | 諏訪赤十字病院 |
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ウッドホルダー | (一財)医療・介護・教育研究財団 柳川病院 |
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自分らしく“決める”ガイド (乳がん手術方法編) |
東京慈恵会医科大学医学部看護学科、 聖路加国際大学、聖路加国際病院 |
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皮下洗浄ブブゼラ | 朝日大学歯学部附属 村上記念病院 |
気管保護と痰絡み網装着エプロン | 医療法人社団輔仁会 太田川病院 | |
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楽々リンパちゃん | 公立学校共済組合東海中央病院 |
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金沢市立病院 社会医療法人信愛会 畷生会脳神経外科病院 |
入選作品の概要

諏訪赤十字病院 【点滴ルートの抜け防止「点滴クリップ」】
医療安全(不安解消・医療廃棄物・感染等)

点滴をしている患者さんが不注意で点滴ルートを引っ張ると輸液パックから針が抜去することがある。不注意による抜去の未然防止の為に、必要な時に簡単に着脱できる「点滴ルートの抜け防止」を地元のものづくり企業の協力を得て開発した。プラスチックシートの弾性を利用してクリップするので、シンプルで安価で携帯性が良くディスポーザブルに使用できる。
また、過度な力が加わった際にはクリップが外れるようにして点滴スタンドが倒れることなく針が抜ける。さらに、輸液パックの口金の形状に合わせたものも作ることができる。
応募者:諏訪赤十字病院

一般財団法人 医療・介護・教育研究財団 柳川病院
【心臓カテーテル検査・治療時の橈骨動脈アプローチ用固定台「ウッドホルダー」】
その他(その他院内)

従来心臓カテーテル検査・治療時の橈骨動脈アプローチ時は、手首の下に枕子を置き、布絆創膏などで、しっかり固定する方法であったが、手首の痛みや腕のねじれ、絆創膏による皮膚のかぶれ、炎症などの苦痛の訴えが多く聞かれた。「ウッドホルダー」は布絆創膏などで無理やり固定するのではなく、ストレスをかけずに握るだけで、橈骨動脈穿刺部が伸展できるものである。
隣町の大川市が、木工が盛んであることから、材質を「木製」にし、微妙なカーブなどもデザインできるようになった。緊張を強いられる患者さんが、握ることで木のぬくもりを感じながら、安心してカテーテル検査・治療を受けられている。
応募者:(一財)医療・介護・教育研究財団 柳川病院

東京慈恵会医科大学医学部看護学科、聖路加国際大学、聖路加国際病院
【乳がん手術方法の意思決定ガイド「自分らしく“決める”ガイド(乳がん手術方法編)」】
その他(その他院内)

がん医療の発展に伴い、患者が自分らしく治療法を選ぶ機会が増えた。
早期乳がん患者の手術方法選択を、何を大事にして決めたらよいか悩む女性は多い。忙しい現場でも「自分らしく決めたい」と考える乳がん女性を支援するため当ガイドを開発した。ガイドは意思決定ガイドの国際基準や理論に基づき試作版を作成し、乳がん患者の評価を受け修正した。
患者さんがどこに住んでいても利用できるようウエブサイトで公開している。ガイド提供により、手術後の意思決定の葛藤低下(納得度向上)の効果が示された。
応募者:東京慈恵会医科大学医学部看護学科、聖路加国際大学、聖路加国際病院

朝日大学歯学部附属村上記念病院【加圧創皮下洗浄用具「皮下洗浄ブブゼラ」】
医療安全(感染)

当院で、手術部位感染(SSI)発生防止を目的として消化器外科手術SSIサーベイランスを実施した結果、表層切開部位感染が多いことが判明した。当初、SSI対策として生理食塩水による閉創前皮下洗浄を導入したが、洗浄水の飛散防止をしながら加圧洗浄でき、なおかつ洗浄水を即座に回収できることが求められた。医療用として市販されているパルス洗浄器のノズル部分を使用することなどにより、低コストでの加圧創皮下洗浄用具を作成した。外科手術全症例で使用したが、SSIは減少し感染アウトブレイクは発生していない。
応募者:朝日大学歯学部附属 村上記念病院

医療法人社団輔仁会 太田川病院
【気管保護手指空中停止・痰絡み網装着エプロン「気管保護と痰絡み網装着エプロン」】
医療安全(不安解消・医療廃棄物・感染等)

気管切開カニューレ未装着の患者さんの介護に役立つよう、本作品を考案、製作した。きっかけは障がい者の子をもつ母親からの当病院への電話であった。子供の手が気管の上に行き、気管を塞いで呼吸できなくなることがあるとのこと。また、気管から排出される痰が詰まって呼吸困難、肺炎など度々併発して困ったという相談であった。
作成に当たって、気管から出る痰が絡む素材を発見したこと、空気層をつくったこと、気管の上に手が行っても十分呼吸できエプロンの下に脱着式で装着し毎日絡んだ痰を洗い流せる仕組みにしたことがポイント。
応募者:医療法人社団輔仁会 太田川病院

公立学校共済組合 東海中央病院【リンパ浮腫測定器「楽々リンパちゃん」
そのた(その他院内)

乳がん手術後の外来診療時に、浮腫の程度の測定を行う。その際、片腕で4ヶ所に巻尺を使用して測定する。患者さんに腕を上げてもらうため、患者さんは疲れてしまうし、巻尺がずれてしまい、何回か測定し直すこともある。
今回、開発したリンパ浮腫測定器は、患者さんの腕を安定させ看護師も1回で測定できるので、時間の短縮になり、患者さんは腕を置くことができるので安楽である。またこの測定器には5㎝、10㎝のラインを先に決定してあることも時間の短縮になった。
応募者:公立学校共済組合東海中央病院

・金沢市立病院
・社会医療法人信愛会 畷生会脳神経外科病院
患者さんのQOLの向上を図るには団体をあげての工夫や取り組みがとくに重要であるとの観点から、作品個々の評価ではなく、団体全体として取り組む姿勢に敬意を表し、多くのアイデアを応募された団体の中から2団体に「ハッピーde賞」を授与することとした。
応募者:金沢市立病院、社会医療法人信愛会 畷生会脳神経外科病院